看取り対話師の人間関係の考え方

職場の人間関係の問題を共有

今日のディスカッションは、男性性と女性性の話から始まり、職場の人間関係、自分自身のマネジメントなど、多岐に渡りました。看取りと何の関係があるの?と思われるかもしれませんが、お看取りに関わらせていただく私たちには、目の前にいるその方の人生をまるごと肯定して差し上げるという役割があります。よって、まず自分自身が問題と向き合い、心の仕組や場の力を学び自己成長していくために、こうした個々の問題に取り組むディスカッションを行なっています。

今回相談があったのは、職場の上司とスタッフの関係でした。スタッフは休日の少ない人数で膨大な外来患者さんこなし、ようやく20時過ぎに仕事を終えたにも関わらず、後日やり方が悪いと管理部と上司から叱責を受けたとのことでした。スタッフは互いに協力し合ってすごく頑張ったにも関わらず、そうした対応をされて何のために頑張って働いているのかわからなくなってしまった…とのことでした。皆さまはこういうとき、どのような対応をするでしょうか?

 

ガラスボールを破壊するとき

多人数の場で起こりやすい状況です。まず管理部の人が役職に否定的、上司がスタッフに否定的、スタッフも管理者に否定的。負のループがこの職場に出来上がってしまっています。この状態はそう簡単には変わらず、まるでパンパンに張り詰めたガラスボールのような状況です。そうなってしまうと、いつか誰かが破壊するしかないだろうと思います。ネガティブな感情は非常に強いエネルギーのため、そこにいる誰もがしんどくなり、患者さんも良い状態にはならないだろうと思われます。

 

その場にいる一人一人に役割がある

相談者さんは、たまらなくなり自分の思いを伝えたそうです。そして言った自分を、間違っていたんじゃないか、相手が重くなってしまったんじゃないかと気にしていました。彼女が見誤らなかったのは、他の人の意見を言わなかったこと。ただ、自分の思いだけを伝えたとのことでした。

ですがこのガラスボールは誰かが壊す必要があります。相談者さんの立場を考えると最適なポジションにいる状態でした。なのできっと彼女は自分に必要な役割を直観的に感じて、その役割を行なったに過ぎないと思いました。その後、上司がどのような判断をするかは、基本的に相談者さんとは関係のないことであると伝えました。

 

相手の問題と自分を混同しない

このとき、もし私のせいで辞めるとかなったらどうしよう…?!と考えがちですね。ですがそれは自分と他者をくっつけて考えすぎです。もし仮にスタッフと話し合う機会を持とうとしてもらえたり、態度を改めるようになれば問題ありません。逆に、相手が辞めるという選択をしたとすれば、それは相手の問題なのです。

なぜなら、辞めるということは責任を自分で引き受けない、自分を理解しようとしない周囲が悪いという判断をしているということなので、結局他の職場に行っても同じような問題が起こるでしょう。よって、それはその人自身の問題であり、自分の思いを正直に伝えた相談者さんには関係のないことなのです。

 

誰も悪くない

実際のところ、誰も悪くはありません。なぜこれほどまでに負のループが出来上がってしまっているのかというと、それは社会(集合無意識)が負のループになってしまっているためです。そして、それは戦後のGHQの政策によって、私たち日本人がそうしてネガティブに物事を捉えるような、否定的な考え方を植え付けてしまったためです。本来日本人は物事の裏と表を見通せる、陰陽の考え方が身に付いていました。

今の家族関係もそうした負のループが起こっていることが少なくありません。とくに戦後の物質的な時代を生きた方々は、身内に対して強い念を持っていたり、介護でいがみ合うことが多くなっています。それらも、大半は洗脳の思い込みの中で生じた感情でしょう。私たち看取り対話師は、そうした否定的な感情と向き合い、本心に気づいていただけるような対話を心掛けたいと思っています。

 

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この記事を書いた人

 

 

 
看取り対話師協会主宰
一般社団法人日本ナースオーブ
代表理事/せのようこ
看護師経験30年

認知科学・コミュニケーションの講師を15年務める。より良いお看取りを日本に広めるため、経験10年以上の看護師チームで保険外訪問看護サービスを開始。
代表よりご挨拶

 

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以下の動画は看取り対話師研修ディスカッションのアーカイブ(2024.2.22)です
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