情報化時代の学習
情報化時代に入り、私たちはとても忙しい毎日を送っています。平安時代の一生分の情報を、現代人はわずか一日で取っているとも言われます。多様性が重視され、さまざまな意見が錯綜する中、私たちは何を学ぶべきなのでしょうか。
SNSにはたくさんのコメントが書き込まれ、「正しい・間違っている」「事実か・嘘か」「良い・悪い」など二元論で争っているのをよく見かけますが、実際のところ、読んでいるだけで誰しも疲れるはずです。これだけ多くの人がガンを発症し、命の残り時間を告げられるという異常事態も、人類が何か気づかなければならないことがあるような気がしてなりません。
真の学習とは?
今、大学では「真の学習とは何か?」が見直され始めています。私たちは今まで専門的な知識を身につけることを重要とし、何者になるか?を人生の基軸として来ました。ですが、本当にそれでいいのでしょうか?
たとえば、オリンピックで見るアイススケートや柔道の一流の選手は、果たして幸せになっているでしょうか?高校生の恋愛に憧れる年代をアイススケートに没頭し、周囲が大企業に就職する中柔道に没頭して、金メダルを獲得するわけですね。しかしながら、引退後にニュースキャスターや芸能人を目指す人をよく見かけますが、継続して活躍している人をほとんど見ません。看護師や医者など専門職も同じです。
というところから、筆者の経験においても、あることに長けた人は、あることに欠けていると思うことがよくあります。何か一点において長けているとしても、経済を知らない、恋愛できない、心理を理解できない、健康を守れない…であれば、それは幸せから離れていっていると言ってもいいかもしれません。そうした状況から、当協会では、看護師向けに『リベラルアーツ学習法』と取り入れた研修を行なっています。
梵我一如(ぼんがいちにょ)
「梵我一如」は仏教用語です。梵(ブラフマン:宇宙を支配する原理)と我(アートマン:個人を支配する原理)が同一であること、または、これらが同一であることを知ることにより、永遠の至福に到達しようとする思想を意味しています。また、「フラクタル」という原理でこの世は成立しているという思想もあり、大きいものの一部を抽出すると、その小さいものと大きいものは構造が同じであるという意味です。
ならば人類は”宇宙”の構造を学ばねばなりません。私たちは宇宙で生まれた宇宙人であり、地球で生まれた地球人だからです。よって、看取りに関わる看護師向けの研修には、宇宙物理学の講座も入っています。お看取りは治療の段階を終え、介護の段階も終え、人間の本質にもっとも近づく時なのだろうと考えます。
本当に大切なことは…
とはいえ真に大切なことは、人生のシナリオを決めて生まれて来ることが「本当かどうか?」ではないと思います。自分を知り、宇宙を知り、その原理を日常に当てはめて考え、自分自身がその概念を選択するかどうか?ではないかと思います。もしそれが自分自身を幸せにし、自分に関わる周囲の人を幸せにするだろうと思うならば、採用してもいいのではないかと思います。
本質的には、私たちは「答えのない世界」を生きています。とすると、肉体を失うことは元の本質に還ることを意味しており、生きている物質界は本質の”一つの例え”かもしれません。これから私たちは多くの死に直面し、多くを学ぶのだろうと思います。そしてそれは、この時代を選んで生まれて来た看護師に託されているような気がしてなりません。
この記事を書いた人
看取り対話師協会主宰
一般社団法人日本ナースオーブ
代表理事/せのようこ
看護師経験30年
認知科学・コミュニケーションの講師を15年務める。より良いお看取りを日本に広めるため、経験10年以上の看護師チームで保険外訪問看護サービスを開始。
代表よりご挨拶
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以下の動画は看取り対話師研修受講者専用です
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