信じがたいかもしれませんが、保険外の訪問看護ではベテラン看護師ほど断られる割合が高くなっています。理由は「あの人は自分の考えを押し付ける」「あの人は威圧的だ」「あの人はキツい」という、利用者さんやご家族が感じた不快感が多くなっています。経験の少ない看護師に比べて、私はわかっている、私には経験があると自負している看護師ほど、コミュニケーション上において問題を起こしてしまうようです。
こうした勘違いを起こしてしまうのは、たいてい病院で長い間管理職をしている看護師、あるいは保険適応の訪問看護に慣れてしまっている看護師です。まず、ご家庭に訪問するということはご本人とご家族が中心の生活がそこにあるため、医療の正しさを押し付けてはならないということ。そして、保険外ということは利用料の負担が大きいことから、ご本人もご家族もその分期待があるということは想像に容易いことと思います。より繊細な関わりが必要とされているということです。
通常‟観察”というと、検温時のような観察をイメージすると思いますが、認知科学では非常に細かな変化を探知する力を養っていきます。「目は口ほどに物をいう」という言葉がありますが、それは脳科学的に合っています。眼球の動きは、脳内の記憶領域の動きと連なっているため、思考の変化が目に現れます。また、目の動きは記憶を呼び起こすためのリモコンのような働きをしています。
心の動きや思考の変化が、目の動きに現れることがわかったらいかがでしょう?ちょっとした変化に素早く気づくことができ、問題となる前に対処することが可能です。「あの人は自分の考えを押し付ける」「あの人は威圧的だ」「あの人はキツい」など、後から言われるようなことにならないはずです。繊細なコミュニケーションとは、相手をより理解することなのです。
この記事を書いた人
看取り対話師協会主宰
一般社団法人日本ナースオーブ
代表理事/せのようこ
看護師経験30年
認知科学・コミュニケーションの講師を15年務める。より良いお看取りを日本に広めるため、経験10年以上の看護師チームで保険外訪問看護サービスを開始。
代表よりご挨拶
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