お看取りは人間関係の環をとじる関わり/Inner peace⑥

意外と多い身内のいざこざ

以前、相続を担当する保険会社の人と一緒に、高齢者さんのお話を聞いて回っていたことがあります。そのときとても多かったのが、身内とのいざこざです。ある85歳の女性には妹さんがいらっしゃいましたが、「あの子にはビタ一文やらん!」「あの子だけは絶対に許さん!」と怒りを露わにしていました。また別の男性は、ご自身の息子さんに対し「あいつはもう縁切ったんや!」「一切関係ない!」と言い切っていらっしゃいました。

お二人とも、その揉めごとがあったときの感情ははっきりと覚えていらっしゃるようでしたが、それが数十年前のことであると知って驚きました。20年、30年会っていないにも関わらず、まるで昨日の出来事であるかのようにリアルにお話をされていました。

複雑な心の仕組み

お話を伺っていて、何となくそれは本心ではないような気がしました。本当は相手のことが気になって気になって仕方がない。わかってほしいのに、それが伝わらないから余計に腹が立つ、という状況ではないでしょうか。実は、そうなってしまうのは心の仕組があるためです。脳の理(ことわり)と同じです。

あなたにも私にも全ての人にこの仕組があります。人間の記憶力というのは、本来は創造性のために使うべき能力であるはずですが、多くの人は望ましくないことの記憶を強化させています。自分自身の中にこの仕組があるということがわかれば、本心はそうではないと気づくことができるかもしれません。

お看取りは人間関係の環をとじること

できることなら、人生の最期を気持ちよく終わらせたいですね。余計なことかもしれませんが、私たち看護師の対話によって、その人が大切なことに気づいてくださればいいなぁと思います。もちろんその機会があれば…ということになりますが。恨み辛みを持ったままの魂は、肉体を失ったあと天に昇華しにくくなります。強い念はこの世に残り続けてしまうのです。

 

 
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この記事を書いた人

 

 

 
看取り対話師協会主宰
一般社団法人日本ナースオーブ
代表理事/せのようこ
看護師経験30年

認知科学・コミュニケーションの講師を15年務める。より良いお看取りを日本に広めるため、経験10年以上の看護師チームで保険外訪問看護サービスを開始。
代表よりご挨拶

 

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