看取り対話師は「対話」を大切にしています。
私たちが生きていく上での人間関係あるいは介護において、言葉の行き違いや気持ちの行き違いが多く、コミュニケーションを学習した看護師が家庭内で第三者として関わることで、穏やかな最期を迎えていただきたいという想いがあります。
対人コミュニケーションには言語によるものと、非言語によるものがあります。
この動画では、とくに言葉による対人コミュニケーションについて学習します。
高齢者さんの話を聞いていると、人に対してたくさんの感情を抱えています。とくに兄妹や子供やパートナーなど身内に対する感情が多いと思います。また戦争で大切な人や多くの物を失い、不安や恐怖、悲しみや淋しさを心の中に抑え込んだまま、社会復興に尽力して来た人が多いのではないでしょうか。
感情はすべて言葉によって成り立っています。「こわい」「不安」「心配」「淋しい」「悲しい」など、もし言葉がなければ漠然とした感覚に過ぎませんが、言葉があるから私たちはその感情を感じます。よって戦後を生きた高齢者さんは、心の中にたくさんの言葉が詰まっているだろうと思います。そして言葉は時間経過と共に身体の奥深くに記録され、身体はその言葉によって疲弊していきます。それが私たちの魂です。
日本人はそもそも感覚的な力に長けていましたが、戦後のGHQの介入によって日本文化に大きな変化が生じました。そのために使われたのはテレビ、ラジオ、新聞などです。多くの日本人が初めて見る電化製品に魅了され、言葉によって多くを学ぼうとしましたが、同時に言葉を真実だと思う文化が広がってしまいました。
よって戦後を生きた世代の人は自らの感覚よりも「他者の言葉」を信じ、言葉に重きを置いて生きた時代です。現代人の若者や子供たちは感覚が優位で、私たちも自分の感覚を取り戻す努力をしていますが、やはり高齢者さんへの関わりは言葉の関わりが重要です。
この動画で学習する「魔法の質問」は、唯一言葉で行うコミュニケーションです。有用なコミュニケーションは意見することよりも、質問することで相手が自分自身に気づけるように促すことです。ここでは5つの質問を学びますが、自分自身に使うことによってハッと何かに気づいたり、ふっと問題を解決できたり、意識の拡大が起こることがあります。魔法の質問は、まず自分自身に使ってトレーニングしましょう。
「言葉」の中には、たくさんの「言葉」が詰まっています。たとえば「幸せ」という言葉の中に、どういう言葉があるでしょうか?これは人によって違いがあります。自分にとっての幸せを意味する言葉が、その中にたくさんあるでしょう。こういった言葉のつながりが思考であり、その思考のつながりを客観視することによって、魔法の質問を効果的に使えるようになります。自分を理解し、他者を理解するために、1日1分トレーニングしましょう。
この記事を書いた人
看取り対話師協会主宰
一般社団法人日本ナースオーブ
代表理事/せのようこ
看護師経験30年
認知科学・コミュニケーションの講師を15年務める。より良いお看取りを日本に広めるため、経験10年以上の看護師チームで保険外訪問看護サービスを開始。
代表よりご挨拶
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以下の動画は看取り対話師研修受講者専用です
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